(何だってぼくをこんなこと)ガリオンは非難がましい口調で答えた。
(その話は前にもしたはずだがな)
(ぼくはトラクに殺されるんだ
譽一鐘錶)
(いったい誰にそんな考えをふきこまれたのだ)
(予言にはそう述べられているんだ)ここで、ガリオンははたとあることに思いあたった。
(自分でそう言ったんじゃないか。きみは予言自身なんだろう)
(それはいささか誤解をまねく言い方だな――第一わたしは勝敗のことなぞいっさいふれておらんぞ)
(でもあれはぼくが負けるという意味じゃないのかい)
(違う。あれはその言葉どおりの意味だ)
(なら、それはいったいどういう意味なんだ
Yumei水光精華)
(まったくおまえは日いちにちと手に負えなくなっていくな。いちいち意味に固執しないで、自分のなすべきことをやったらどうだ。これまでちゃんとやってきたではないか)
(いつまでもそんな謎めいた話し方しかできないんなら、何でこんな手間ひまをかけたりするんだ。何で誰にも理解できないようなことを、いちいち言わなければならないんだ)
(なぜならそれは言われねばならないからだ。言葉はすべてのできごとを決定する。言葉がそのできごとに限界を定め、具現化するのだ。言葉がなければこれらのできごとは、行き当たりばったりの偶発事に過ぎない。それこそがおまえたちが予言と呼ぶものに与えられた意図なのだ――行き当たりばったりのものから、真に重要なものをより分けることが)
(言ってることがよくわからないよ)
(わたしもそう思ったが、おまえがどうしても聞きたがったから言ったまでだ。いいかげんにくよくよするのはやめた方がいい。そんなことをしたって何の役にもたたないのだから
海外旅行)
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