カックル先生の魔女学校に、とんでもない生徒が入学しました。
が、あとがみっともなくなって、ときどき、変にかたむいたりもしました。
このお話は、一学期が半分すぎて、いよいよあしたは、黒猫をわたされるという日のばんから、始まりました。
時は、ま夜中近く、カックル学校は暗やみの中に、しずんでいました。ただあるへやの窓べに、ひとつだけろうそくがともっています。こはミルドレッドのへや。ミルドレッドは、黒とはい色のしまのパジャマを着てベッドの上におき直り、二、三分ごとにねむくて、こっくりをしていました。モードは、はい色のネグリジェを着て、黒いショールをはおり、ベッドのはしにすわっています。生徒のへやは、みんな同じつくりをしていました。洋服だんすがひとつ、鉄製のベッド、つくえといす、そして細長い窓、それだけです。かべにもこれといったかざりはなくて、はりわたした横木に、おまじないをししゅうしたかべかけが、かかっているだけでした。昼の間は、ミルドレッドがかっている三びきのコウモリも、ぶらさがっています。ミルドレッドは、動物となかよしになるのがじょうずで、あした、子ネコをもらうのを、とても楽しみにしていました。ほかの一年生もご同様で、今夜はいちばん良い服にアイロンをかけたり、ぼうしのかたちをととのえたり、大いそがしでした。モードも興奮して
dermes 脫毛ねむれないので、ミルドレッドのへやにやってきて、話こんでいるのです。
「子ネコの名前、決めた?」ミルドレッドがねむたそうにたずねました。
「『ヤミグロ』っていうの」と、モード。「ドキしょ」
「わたし、とっても心配」と、ミルドレッドが、おさげをかみながらいいました。「いやな予感がするの。ネコのしっぽをふみつぶしちゃうとか、わたしの顔を見たとたんに、ネコが窓から飛び出しちゃうとか、きっと悪いことがおこるわよ」
「ばかなこといわないで」と、モード。「あんた、動物かうのじょうずじゃない。それに、しっぽをふもうとしたって、ネコのほうで、じっとしちゃいないわよ。悪いことなんかおこらないわ。カックル先生から、子ネコをもらって、それで終わりよ。なにを心配しているの?」
ミルドレッドが、こたえようとしたちょうどその時、とつぜんドアが開いてクラス担任のハードブルーム先生があらわれました。黒いネグリジェを着て、あかりを手にしています。先生はせが高く、きつい顔つきをしたおっかない人で、いつもおでこが引っぱられるほど、かみを固く結んでいました。
「おきているには、いささか遅い時間じゃないかしら?」先生は、ひにくっぽくいいました。
ふたりは、ドアが開いた時びっくりして、たがいにしがみついていた手を、そっと引っこめて、床を見つめました。
「もちろん、あしたの式に出たくない
科研項目っていうのなら、話は別ですけどね」と、先生は、冷たく続けました。
「すみません、先生」
ハードブルーム先生は、ミルドレッドのろうそくを、意味あり気に見つめ、モードを先に立てて、ろうかに出ていきました。
ミルドレッドは、急いでろうそくをふき消すと、ふとんにもぐりこみました。でも、ねむれません。窓の外では、フクロウがホーホー鳴くのが聞こえますし、学校のどこかで、閉め忘れられたドアが、風にあおられて、ギーギーいっています。本当のことをいうとね、ミルドレッドは暗やみが、こわかったのです。でも、だれにも、
阿柏西普いいません。だって、暗やみをこわがる魔女なんて、聞いたこと、あります?
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