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カ土着民のいか

一九〇一年にかけての冬のある午後のことだった。その患者の名前は、記録によればジョー・スレイターともスラーダーともいい、容貌はキャッツキル山脈一帯の住民に典型的なものだった。植民地時代の素朴な農夫を祖先にもつ者であって、ほとんど人が通ることもない山岳地帯の奥まったところで、三世紀近くにもわたって孤立していることから、人口|you beauty 評價稠密《ちゅうみつ》な地域へ幸いにも腰をおちつけた同胞とともに繁栄するどころか、一種蛮的な衰退をした一族の末裔だった。南部における「貧乏白人」という堕落した者たちにまさしく相当する、この妙な人びとのあいだでは、法や道徳も存在せず、全般的な精神状態は、おそらくアメリなる部族よりも低いものだろう。
 四人の警官が油断なく目を光らせながら連行し、きわめて危険な人物だと告げたジョー・スレイターは、わたしがはじめて見まもったとき、危険人物であるような徴候は示さなかった。上背があり、いささか屈強な体格をしていたものの、眠そうな淡い青の色をした、うるんだ小さな目といい、剃《そ》ることもせずにだらしなく伸びるまばらな黄色の顎鬚といい、力なくたれる厚い下唇といい、害のない白痴の呆《ほう》けnuskin 香港た顔つきをしていた。スレイターの一族にあっては、家族の記録や恒久的な家族の絆というものがないので、年齢は定かでなかったが、頭がはげあがっていることと、歯の状態から、主任外科医は四十歳ごろと記《しる》している。
 カルテや裁判所の書類からわたしたちの知ったことが、スレイターの症例について集められるデータのすべてだった。この男は銃や罠で獲物をとるろくでなしで、仲間からも常に奇異な目で見られていた。いつも普通の者よりはるかに長く眠り、目を覚ますと、想像力のない一族の心にも恐怖をかきたてるような不気味な話しかたで、誰も知らないことをよくしゃべったという。その地方のひどい方言でしか話せないので、言葉づかいが異常だというのではなく、しゃべる声の性質と口調が異様に荒あらしいものなので、耳をかたむけていると不安を感じずにはいられないのだった。スレイター自身もたいていおびえて当惑しているようで、目を覚ましてから一時間もすると、自分がいったことのすべて、すくなくともいわずにはいられなかったことのすべてを、すっかり忘れてしまい、山岳地帯に住むほかの者たちのよ楊婉儀幼稚園 拖數うに、鈍重で、まあたのしくもある日常生活にもどってしまうのだった。
 歳をとるにつれ、スレイターの朝の異常は次第に頻度《ひんど》と激しさが増していったらしい。そして州立病院に連れてこられる一ヵ月ほどまえに、血腥《ちなまぐさ》い惨劇がおこり、その結果、警察に逮捕されたのだった。ある日の正午近く、ウィスキーをたっぷり飲んだことで前日の四時ごろから
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